月別アーカイブ: 2007年11月

ミシュラン・フィーバーはグルメ文化の退行現象?

『ミシュランガイド東京2008』、たまたま知人が持っていたのでパラ読み。
店側のコスト負担もあったと聞くが、カラー写真が豊富で、客観的に言って版元がコスト面で存分にリスクを取った労作だと思う。
神田明神でミシュランの幹部が成功祈願をしたというのも、むべなるかな。
「ミシュラン」というブランド名がなければ誰も失敗が怖くて手がけられない企画だ。

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52歳リタイアの夢

藤沢周平の『三屋清左衛門残日録』。
52歳で藩主の側用人を辞した清左衛門。
その意外と忙しい隠居生活を描いた、あまりにも有名な短編連作小説。
時代小説嫌いの私は食わず嫌いを続け、白状すれば藤沢周平を読むのさえ初めて。
いやしかしこれは本当に名品と言うほかない。
ぼくもこういう老境にリアリティを感じるようになったということかもしれない。

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新書の山の中に見つけた、宝石

内田樹著、『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)を読んだ。
毎月、山ほど新書が発刊される中で、読んで少しでも面白い本を探すのはたいへんだ。ましてや、読んでよかった、と思える本など希少価値だろう。
そんな中に、たまに掘り出し物を見つけると、ずいぶんと得をした気分になる。いや、今回紹介する『私家版・ユダヤ文化論』は、タイトルからすると、とても売れる本には見えないけれど、そして、読みたくなるような本ではないけれど、読んでよかった、本なのだ。いや、現代を読み解く上で、必読と言ってもいいだろう。それに簡単に読める、新書の形式だ。なんでこんな本が、新書の山の中に埋もれたままなのであろう。と、思っていたら、小林秀雄賞を受賞した。これで陽の目を見るというものだ。

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努力型の進化論

どうせ有名企業家の自慢話。
そう期待しないで読んだのがよかったか。
三木谷浩史『成功のコンセプト』、かなり面白かった。
ネットバブルの崩壊からしぶとく生き残っているのは、「仕事は楽しい」と言い切るベタな努力主義?
それが、ネット企業に対する期待感がはがれた今でも、違和感なく本書を読めた理由かと思う。

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吉野屋では特盛を頼め?

『スタバではグランでを買え!―価格と生活の経済学』がメチャ売れ。
「値段から社会のしくみが見えてくる」というオビのコピー。
それにサブタイトルからわかるように、そんなに新味のある内容なの?という感じ。
むしろ地味。
スタバものも、ちょっと飽き飽き。
それなのに、それなのに。
ビジネス書編集者から見たら、うらやましい限りだ。

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スピリチュアルな人は努力がおキライい?

ベストセラー街道まっしぐらの『ザ・シークレット』。
『聖なる予言』の山川夫妻久々の真骨頂発揮という感じだ。
爆笑ツッコミネタ満載である。
思いは現実化する。
あなたの身に起こる良いことも悪いことも、あなたが「引き寄せ」たこと。
だから良いことだけを思い、宇宙にお願いし、それを信じよう。
そうすれば時間の長短があっても、かならず宇宙があなたの思いを現実化してくれる。
こんな「秘密」という名の戯言を、何人もの自称作家や「講演家」たちがしゃべり散らす、同タイトルのDVDの内容を本にしたもの。
これだけの物量を全米で売ったのだから、バックには相当力のある団体がついているのだろうか。

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