月別アーカイブ: 2007年7月

「私の国造り」のための「私の内閣」の瓦解……

「私の国造りはまだ半ば」
「私の内閣でなしとげる」
安倍晋三の、とくにこの参議院選で多く語られた言葉だ。
議院内閣制なのだから、「私」とは結局「国民の代表」と言えるのかもしれない。
しかし、どうにも気に入らない。
と思っていたら、29日の開票特番で、大嫌いな田中眞紀子が同じ指摘をしていた。
これもこれで気に入らない。
安倍側近たちは告示前、今回の選挙を「圧勝」と予想していた。
そういう調査結果が自民党に報告されたといわれる。
しかし、その後に起きた久間と赤城問題がヒドかった。
あの2人が自民党にとっては戦犯になったと思う。
最後は、前にも書いた小沢一郎の持つオーラがものを言った。
小沢は格差是正を訴えるが、その具体策はかなりトンデモである。
しかし小泉が得意だったワンフレーズ劇場を、小沢一郎が起こしたように見えた。

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「取りに行けよ!なんで止まってるんだよ!…やってることやらないと」

アジアカップ@ハノイ、サウジアラビア戦。
客が少なかったせいか、珍しくピッチの選手の声が鮮明にテレビで聞こえた。
まだスコアレスの前半24分、サウジが右CKから上げた山なりクロス。
川口能活が手ではじいたボールは反対サイドに意外とゆっくり転がる。
しかしゴール前を固めた日本選手の誰一人、そのボールを取りに行かない。
取らなければサウジのスローインになるし、取ればカウンターのチャンスだ。
それを足を止めて見送る選手たちに川口が激しく指示した言葉が「取りに行けよ!」。

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カイザースラウテルンの惨劇から1年経って

7月21日、アジアカップ準々決勝@ハノイ。
あの惨劇から1年過ぎてのオーストラリア戦。
オーストラリアにPK戦に持ち込まれたけれど、勝った。
1年以上引きずったモヤモヤした感じが、ようやく癒えていくように感じた。
今大会、他の強豪チームの試合もぽつぽつ見ると、韓国はなんとか粘って勝っている感じで、とてもワールドカップ4位になったことがある国とは思えない。
イランは中心選手が冴えず、両チームが戦った22日の準々決勝は、悪夢のような凡戦だった。
22日のもうひとつの準々決勝、サウジアラビア対ウズベキスタンは、見せ場があった。
ウズベクは本当に惜しかったが、サウジのここ一発の決定力が効いた。

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イフ 歌舞伎町で起きた奇跡の物語

昨晩、久しぶりに歌舞伎町ゴールデン街の店「イフ」に行った。
いつの間にか開店3年目になった。
2004年10月にオープンした頃は、ママの元からの知り合いしか客がいなかった。
やっていけるのかなあ、と正直思った。
しかしママ紀江さんの前向きな人柄が男女ともにウケたのだろう。
ママを好きな女性客が多く常連になったことが成功の秘訣かもしれない。
新しい客がどんどん増えて、ぼくら昔なじみは最近ちょっと片隅に追いやられ気味。
開店した当時、まだ真新しいカウンターに座って呑んでいたとき。
たまたま隣に、通信社の東京特派員という人がいて、思いついたのが「イフ」という小説だ。
自分を諜報員と思い込み、世の中すべてをそういう視点でしか見られない。
しかしなぜか、そのカン違いが人の心の真実のもっとも近いところにたどり着く。
誰よりもいい加減でダメそうな探偵や刑事が、誰よりも正確に犯人を見抜く。
そういうパターンの海外ミステリーがある。
もっとも難しい書き方だと言う人もいる。
それを一応はめざしたつもり><;
沢崎という名前はもちろん、原りょうの探偵小説の主人公へのオマージュ。
今のところ第一話から第四話まである。
もう3年から2年近く前に書いたものだけど、もしよければ読んでください。

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キャラって、何?

若者言葉で頻出するものの一つに、「キャラ」という言葉がある。”言葉がある”なんて、大上段に構えて論じることもないのだけれど。無論、キャラクターの略で、「ゆるキャラ」とか「頼られキャラ」とか、「アニメキャラ」とか最後のはそもそもリファレンスするアニメを知らないと、どういうキャラクターなのか、皆目見当もつかない。
企業組織の中でも、若者が流行らせたおかげで、「あの人のキャラは~」などと発言する輩も多い。キャラとは、いわばレッテルであり、本来、多面的である人のごく一部の属性を取り出してそう表現しているだけである。しかるに、一度、この「キャラ」を命名されたが最後、彼(あるいは彼女)の属性は、これと決められてしまい、容易にそのイメージを破ることはできなくなってしまう。下手をすると、期末の評価にまで影響しかねない(というのは大げさか)。「キャラ」はほんとうにあるのだろうか、というのが今回のテーマだ。

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オシムを総理大臣に!

……なんて夢想する人は他にいないだろうか。
7月1日。
テレビ各局、新聞各紙で取り上げられた、民間初の対決型党首討論。
ぼくはナマで見ていた。
小沢一郎の政治家としての言動は、いかにも古い。
他の野党党首とゴルフ会談したり、国会に出ず地方回りしたり。
まるで自民党旧経世会の亡霊のようだ。
しかも民主党の党首という立場に押し込まれ、物言いが不自由になっているように感じられる。
それでもまだ、彼には語るべき何かがあり、オーラがあった。
安倍晋三は自民党政治家としては、明らかにニュータイプだ。
宮崎哲弥も7月1日付朝日新聞で言っていたが、小泉純一郎さえできなかった、霞ヶ関の本丸・財務省との対決を本気でやろうとしているように見える。
しかし、ナマの安倍にはオーラが漂わない。
哲学を語らず、行政の長としてのソリューションを淡々と語る。
安倍も小沢も物足りない。
もちろん他の野党党首は論外。
この二人から選べって、二大政党制って、こんなもん?
胸を打つリーダーはいないのか?

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LIFE HACKS本

シリコンバレー発の、人生を豊かにするアイディアの集積といった意味の言葉に、「LIFE HACKS」というものがある。HACKSという言葉は元々、コンピュータの世界で、プログラミングに関する便利な裏技や、アイディアをまとめたものを指すのだが、これを人生全般にまで拡張して、生きる知恵としてとらえたのが、「LIFE HACKS」だ。仕事を効率よくこなして生産性をあげ、生活のクォリティをあげよう、というほどの意味である。
このシリコンバレー流の軽やかな生きる知恵を、日本版にしてまとめようという企画が、『IDEA HACKS!』『TIME HACKS!』『PLANNING HACKS!』である。「今日スグ役立つ仕事のコツと習慣」などという副題を見れば、日ごろ、うんうんうなりながら仕事に追われる当方としては、すがりつく気持ちで紐解いてみたくなるようなタイトルではないか。

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『売れないのは誰のせい?』山本直人(新潮新書)

身につまされるタイトルだ。現に、今年に入って、「売れないのはおまえの(おまえの部門の)せいだ」と何度詰問されたことか。。。いや、これは私事なので、どうでもいいことだが。
売れないのは販売のせいだ、いや、開発のせいだ、販促が悪かった、などと責任のなすりつけをしあうのは、実にネガティブなことだ。「今回は売れなかったけど、次回はがんばろう」がポジティブな発想というものだろう。売れれば、「わが営業部の販売力のせい」だったり、「商品力の賜物」だったり、口々に言い募っても、結局は笑っていられるのであるが。。。
。。。いや、しかし、商品が売れなかったときこそ、日ごろの秘められた感情があらわになる。歳寒くして松柏の凋むにおくるるを知る、だ。危難のときこそ、人の真価がわかるものだ、という論語の言葉が身にしみる。(意味はWikipediaなどで調べてください)危難の時に限って、口汚い罵りあいが始まるのである。「売れないのは誰のせいだ!」と。

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