編集者大淘汰時代始まる?

最近、とても恐ろしい予感がしている。
編集者の大淘汰が始まるのではないか。
本が売れないのは前々から。
しかしそれにしても、ロングテールの角度が急激化しているような気がしてならない。
そういう感じ、なのでデータがあるわけではない。
しかし、7月23日に出るハリポタ最終巻が、上下だけど180万部だというのに、自分のところで出す書籍は……もうまったく比較にならない。
きちんとリサーチすれば、確実にそうなっていると思う。


昨年から今年にかけて、中堅出版社の倒産が相次ぎ、そのうちニュースにすらならなくなった。
このあいだバイク誌の連載を持っていた著者さんと話したら、自分が連載をもっていた雑誌は、会社がなくなるか、雑誌がなくなるかで、とうとうある会社は、自分のところの雑誌を他社に売ったらしい。
こんな話はきっといくらでもあるのだろう。
そういう場合、編集者もいっしょに行くことができればいいが、必ずしも全員とはならないだろう。
じつはぼくがいる会社でも、雑誌が絶不調のため複数誌が廃刊になる。
編集者は異動になるのだが、どこの編集部も編集部の採算ラインぎりぎりの数の編集者しか置かない。
当然人がダブってしまう。
いま団塊世代の退職者が多いため、その穴埋めになってはいるが、退職者の数は減ってくる。
雑誌の数がもっと減れば、そこにいた編集者は行き場がなくなってしまう。
そうすると今度は、より結果を出す編集者しか生き残れないゼロサムゲームになる。
編集者が本売る能力で淘汰される時代になるのかもしれないのだ。
だからぼくは、じつはけっこう悲壮な覚悟で仕事をしている。
今までだったら、いい本を作るにはどうしたらいいかを考えれば、だいたい結果がついてきた。
これからは、この仕事を続けるために、編集者として生き残るために、どうすればいいかを考えないといけない段階に来ていると思うのだ。
どれくらいの編集者がそういう危機感を持っているだろう。
小規模の出版社にいる編集者ほど危機感が大きい。
かれらの必死さには恐怖さえ覚える。
今月の売り上げを絶対にあげようと、入稿から10日足らずで見本を作るなどという無茶なスケジュールで著者を囲いこもうとする。
たしかにそういう覚悟で著者を口説く編集者は迫力が違う。
著者も徹夜を重ねてこたえようとするから、なんとかできてしまうものなのだ。
もちろんそうしてできた本が売れれば万々歳。
売れなければ、その返品をかぶる前に、また無理矢理本を出すことなるのだが。。。
ひるがえって、大手系では、それほど危機感があるようには見えない。
たしかに会社は倒産しないだろう。
でも、だからといって、今と同じ仕事をしていられるかどうかは、それとは別問題なのだ。
雑誌編集者はかなり厳しい立場に置かれるだろう。
しかし書籍編集者は、やり方次第で生きていける。
危機感があり、生き残ろうとしたら、すぐれた著者の信頼を一人でも多く勝ち取るしか方法がないと思う。
それを自覚すれば、日常の仕事の優先順位もおのずから決まってくる。

編集者大淘汰時代始まる?」への2件のフィードバック

  1. おお、私はついに会社を放逐されました(笑)。
    桜井さんのところと規模もジャンルも大違いの会社でしたが、特に今年始まった頃の数字は恐ろしいほどでした。経営者はパニックに陥りましたが、打つ手を考え出せず、われわれ編集者は個別に社長室に呼ばれ、ひどいつるし上げを食らいました。
    で、ただいま失業者として、企画を持って流浪の旅をしておりますが、相手の編集者を見ると、完全に二極分化という感じです。落ち込んでいる会社は編集者自体が自己保身の循環に陥っており、個々に分断された人間がまるごと腐っている感じです。一方、この状況の中がんばっているところは、話がどんどんふくらんでいきます(企画が成立するかどうかは別として)。本来、編集ってこういうふうに、みんなのアイデアをどんどん重ねながらやっていくモノだったよなあ、と思うのですが……
    専門書版元の若い友人は、年に十数冊も専門書を作っていて、心配していたのですがついに鬱病のようになってしまいました。でも少部数なので売り上げを聞いてびっくり。私がサボって仕事していた年の半分しかなかった。
    この世界、裸でやっていくのは、これからますますキツいことになりそうです。

  2. ぽいんと尺さん、こんにちは。
    何があったかは存じませんが、今年の始めから業界崩壊が始まっている感じですよね。
    企画を持って放浪の旅とのこと。民事再生が決まるまで大変だったA社の編集者もそういう話をしておりました。それを聞いて、書籍編集者は自分のために書いてくれる著者をたくさん持っていることが最大の生き残り策だと思ったのでした。出版社の経営者なんてアテにならないのでしょうね、Xデーが来たら。
    私は鬱病になるほど繊細ではありませんが、障害者手帳が取得できそうなほど視力が悪化しています。

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