オシムを総理大臣に!

……なんて夢想する人は他にいないだろうか。
7月1日。
テレビ各局、新聞各紙で取り上げられた、民間初の対決型党首討論。
ぼくはナマで見ていた。
小沢一郎の政治家としての言動は、いかにも古い。
他の野党党首とゴルフ会談したり、国会に出ず地方回りしたり。
まるで自民党旧経世会の亡霊のようだ。
しかも民主党の党首という立場に押し込まれ、物言いが不自由になっているように感じられる。
それでもまだ、彼には語るべき何かがあり、オーラがあった。
安倍晋三は自民党政治家としては、明らかにニュータイプだ。
宮崎哲弥も7月1日付朝日新聞で言っていたが、小泉純一郎さえできなかった、霞ヶ関の本丸・財務省との対決を本気でやろうとしているように見える。
しかし、ナマの安倍にはオーラが漂わない。
哲学を語らず、行政の長としてのソリューションを淡々と語る。
安倍も小沢も物足りない。
もちろん他の野党党首は論外。
この二人から選べって、二大政党制って、こんなもん?
胸を打つリーダーはいないのか?


と、そんなさなかに、アジアカップvista大会が始まった。
vistaとは最近はやりの急成長中エマージング・マーケット国、ヴェトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンのポストBRICsのことで、このうちのアジア2国とタイ、マレーシアの共同開催。
アジアの夏は暑いに決まっているが、ヴェトナムとタイはスコール付きだ。
いいサッカーなどできるわけがない国でやるのだから、さすが新興国様だ。
そんなことはともかく、シロウトのぼくにも、ようやくオシムの面白さがわかってきた。
オシム語録なんてものより、黙って打ってくる采配は、ちょっと感動ものである。
はじめてそう思ったのは、6月5日、久しぶりに足を運んだ埼玉スタジアム。
ピッチに散った選手たちのフォーメーションを見て、本当に呆気にとられた。
高原をセンターにした、中村俊輔と遠藤の3トップで、稲本がトップ下。
こんなのアリか!?
下がってボールを受けに来られる高原の良さを生かしている。
まるでヨーロッパの強豪チームのようじゃん。
個々の選手の個々の問題はあるにせよ、こんな魅力的な布陣を日本代表でもできるんだという、それは信頼の証のように思えた。
そして7月10日、ハノイでの初戦、カタール戦。
3トップの左が遠藤から山岸に代わり、遠藤がトップ下。
これも本当に面白い布陣だ。
しかし後半の選手交代の采配はどうだったのか。
試合は周知のように引き分けで、高原がインタビューで言ったように、カタールがファウルを取った2タッチくらい前で、日本がぼんやりしていたせいなのだろう。
そしてこれにオシムが試合後のロッカールームでむちゃくちゃ怒ったと伝えられる。
あんないいサッカーをして、1点しか取れないなんて、おまえらアマチュアか、と。
一言で本質に迫れている。
しかも愛情が感じられる。
言葉で勝負するはずの政治家は、負けてないか?

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