努力型の進化論

どうせ有名企業家の自慢話。
そう期待しないで読んだのがよかったか。
三木谷浩史『成功のコンセプト』、かなり面白かった。
ネットバブルの崩壊からしぶとく生き残っているのは、「仕事は楽しい」と言い切るベタな努力主義?
それが、ネット企業に対する期待感がはがれた今でも、違和感なく本書を読めた理由かと思う。


内容は、楽天の有名な社是を一つ一つ説いたものだ。
1 常に改善、常に前進
2 プロフェッショナリズムの徹底
3 仮説→実行→検証→仕組化
4 顧客満足度の最大化
5 スピード!! スピード!! スピード!!
もっとも面白かったのは、最初の「改善」の話である。
楽天のビジネスは、改善型だという。
まったく新しいものを突然変異的に創造した天才型の企業ではない。
「世の中は天才ばかりではない。けれども、改善は誰にでもできる。(中略)改善は凡人を天才にする方法なのだ」
客観的にそうで、1997年の創業当時、すでに大手企業はインターネットのショッピングモールをスタートさせていた。
しかしどれもうまくいかず、閑古鳥。
撤退する企業が多かった。
なぜダメなのか。
その理由を検証し、一つ一つつぶしていく。
ホームページ業者に依頼することに問題があるなら、自らシステムを作り出す。
全国の中小企業や商店主のもとを営業に回り、「パソコンなんて知らん」というオヤジさんを秋葉原に連れて行く。
客からのコメントに自分たちで対応するのではなく、出店主に対応してもらう。
こうした細かい改善を重ねた結果が、創業最初の月に18万円しかなかった売り上げを、年間1兆円の流通総額の現在の地位に押し上げたのだという。
起業する人には文句なく薦められる本だと思う。
しかし佐藤可士和の装幀はかなりイマイチだな(笑)。

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