小沢ショック

さまざまな新聞の記事と、識者の意見、それにネットの書き込みと、まあ憶測ばかりが飛び交って、渦中の小沢一郎の本心を知る者は、民主党の中にもいるかどうか怪しい事態になっている。これを称して、小沢ショック、とどこかで書いていた。


日経新聞では誰かが、「英雄が陥りやすいパターン」などと、まるでギリシャかローマの時代の話のように評していた。そりゃまあ、小沢氏は潔く、決断もすばやいから、英雄のそれにも見えるのだろう。
国民の声を無視している、という論調も多い。これは街頭インタビューなんかを引用して言われている。曰く、「政権交代を期待していたのに」あるいは、「裏切られた思いだ」云々。ご丁寧に、岩手県に取材に行って、声を聞く、なんていう報道も多かった。そりゃあ、残念がるに決まっている。または、残念そうな声だけ拾って電波に流すからね。
「新党立ち上げか」というような書き方は、夕刊紙である。もっとも、でかい字が「小沢」と「新党」のところだけ強調するので、「立ち上げか」は読み逃してしまう。すると、もうすでに新党を立ち上げたのかと思って、まちがって夕刊紙を買ってしまう寸法だ。なんだ、新党だなんて、誰も言ってはいないではないか!
さて、結局、この党首会談は誰がしかけたものであろうか。小沢氏によれば、首相の側からだ、との話である。そうだとすれば、福田首相もなかなかの策士である。鳩山幹事長は、首相が小沢案を丸呑みした、と言ったとか。これは小沢氏自身が否定しているが。
もしここで、小沢氏が辞任してしまったら、ほんとうに自民党の思う壺だろう。逆に、慰留に乗る格好で代表に踏みとどまれば、民主党の混乱は収まるどころか、かえって結束は強まり、衆議院選挙への準備に真剣に取り組みはじめるだろう(あんなに小沢氏に辛辣に批判されたのだから)。新党なんて、愚の骨頂だ。。。
しかし、小沢氏の心の中はわからない。福田首相もすっかり蚊帳の外だ。ご丁寧に、あちこちのメディアで、小沢氏の政治遍歴が解説されたりしている。辞意を表明した野党の党首のヒストリーが新聞ネタになるのも珍しい。辞めるのにね。
小沢氏は、党首辞任も、政党が壊れるのも、何も恐れてはいないだろう。しかし、民意も意に介さない・・・ということは、逆にないだろう。その高度な政治判断で、民主党の結束を鉄の絆にするとともに、大衆の期待を一気に高めるつもりなのだろう。がっかりさせておいて、もう一度、こちらを向かせるという、高等な技術で。
いや、そうではない、という声も聞こえてくる。また、昔の悪い虫が騒ぎ出しただけだ。いつもの壊し癖だ、と。
そうなのかどうか、ここ数日は小沢氏から目が離せないことだけは、まちがいない。

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