まだまだ謎の多い尖閣ビデオ

尖閣映像流出の犯人がついに名乗り出た。
時間の問題ではあると思っていたけれど、今さらながら驚くべきは、神戸の保安官だったことだ。石垣海保が撮影したビデオが、なにゆえ神戸に・・・。


4日、尖閣映像がYoutubeに流れている、という衝撃の報道が流れてから、すぐさまスマートフォンで確認した。そのときは、すでにオリジナル映像が消去された後で、消しても消しても現れるコピー映像のひとつであったが。翌朝、「尖閣」で検索して見てみると、消去されたはずの映像が、またもや画面の上から下まで連続で投稿されていた。
ネットには、名乗り出た海保の保安官を擁護するメールが多数寄せられているという。テレビでは、流出させた保安官を罪に問えるかどうか、偉い先生方が意見を述べておられる。
もし罪に問うとすれば、国家公務員法の守秘義務違反ということだ。報道を聞いているかぎり、尖閣映像に機密性があるかが焦点のようである。しかし、そもそも海保の内部で、尖閣映像が、極秘扱いになっていたかどうかが疑問である。
読売テレビ総合広報部による本人への直接取材では、「ほぼすべての海上保安官が見ようと思えば見られる状況にあった」ということであるから、守秘義務違反になど問うことはできないだろう。
といって、ネットでさかんに言われているように、保安官が英雄であるなどとは、軽々しく言えないだろう。
中国では、ただの酒乱の船長の血迷った違法行為をダシにして、反日気運を煽るという、まことに益のない情報操作が行われている。こんなことは、中国にとっても、日本にとっても何もメリットがないのだ。
あの鄧小平でさえ棚上げにしていた尖閣諸島の領有権の問題を、今さら穿り返したところで、日本と米国が手を組んで関係改善してしまうばかりだからだ。その隙を窺って、北方四島に上陸を果たしたメドベージェフ大統領に至っては、プーチン首相でさえやらなかった政治的な暴挙を行ったことで、ますます日米が緊密に接近してしまうだけだろう。
一方で、日本のナショナリストは、反中国、反ロシアの宣伝をどんどんやり始めるにちがいない。中国やロシアが、反日ナショナリストの意見を煽るように。
というところまではよかったが、いったん政府が秘匿を決め込んだ映像を流出させてしまったのみならず、世論を再度、アンチ中国に向かわせてしまったのは、非常にまずかった。
外交の成果がプロセスにではなく結果にあるとしたら、やり方はどうあれ、黙って尖閣諸島の日本帰属を明確にすればよいだけだろう。別に、今の今、中国に持っていかれてしまったわけではないのだから。さらには、米国と緊密に連携して、中国に圧力をかけるほうがよいのだ。
別に日本国民が尖閣映像に悲憤慷慨しなければ、政府や米国が動き出さない、などというわけではなかろう。国民のアンチ中国気運を無理に煽り立てる必要などない。
もっと言えば、中国に多数進出している日本企業は、商売がやりにくくなり、日本の国益にとってはマイナスばかりである。
とまあ、ネット右翼のみなさんと、sengoku38氏に対しては反対意見を述べてしまったけれど、正直、映像を見たかったのも私の本音だ。この点は、大多数の国民と同意見である。やり方はまずかったけれど、sengoku38氏には感謝しなくてはならない。
そもそも、政府が早く映像を公開してくれればよかったのだが、中国との外交関係を考慮しすぎてしまったのであろう。
唯一傾聴すべきは、立花隆の意見だ。曰く、今の時代はネットの技術で、誰でもが放送局になれる時代なのである。それを誰にも止めることはできない。政府の中枢にいる人たちの意見を聞いていても、こうした時代に取り残されてしまっているようにしか見えない、とたしかこんな話であった。
sengoku38氏が身を挺してコトに及ばずとも、いまや真実を隠しておくことはできない時代になってしまったのだ。まずはそこから出発して、隣国との対等でまっとうな外交を築いてゆくしかないだろう。
それにしても、石垣海保の映像が、なにゆえ神戸にあったのか。やはり立花氏の言うように、あっという間に情報が拡散してしまう時代ゆえ、当たり前のことなのか。。。

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