謎のフロッピーディスク

またしばらく、投稿の間が空いてしまった。
民主党のごたごたについて、書こう書こうと思っていたが、あまりに低レベルな議論ばかりが横行するので、げんなりして、そのままにしてしまった。
ひとつ書いておくとすれば、菅首相は小沢グループの力を借りなければ政権運営ができないし、小沢氏も政権与党に留まるためには、反対派と手を組まないわけにはいかない、という当たり前の事実だ。お互い、相手の力を頼みにしているのであるから、対立も協力もするのは当然である。
子どもじゃないんだから、鳩山氏が風見鶏みたいに飛び回らずとも、民主党は挙党体制で政権運営を行うのが当然だ。トロイカだとか、なんだとか、派閥争いの記事が好きなのは、社内政治にばかり関心をもつサラリーマンのオジサンたちだけだろう。(だから、賃金労働者のオジサン向けの記事ばかりが流行る)


さて、郵便不正事件をめぐって、大阪地検の前特捜部長らが逮捕されるという、前代未聞の事件が起きた。報道に接して強烈に感じたこと。
それは、検察の組織があまりに古めかしく、時代にそぐわないことだ。
FD改ざんというのが、その象徴だ。特捜の検事自らが、容易に証拠を改竄できるということは、セキュリティもとてつもなく甘い、ということだろう。現代にあるまじき、情報セキュリティ意識の低さだ。
それに、いまや、FDドライブなんて、積んでいるPCを探すほうがたいへんだ。CDを通り越して、DVD、ブルーレイという時代なのに。大事な証拠を扱うデジタル備品も、古いままなのだろう。
そういえば以前、できたばかりの都庁ビルの事務所スペースに入館したことがある。職員の机上に、古いPCがあるなあ、と思ってみていたら、ディスクドライブは8インチであるのに驚いた。聞いてみたら、まだ現役使用中という話だった。さすがに、今はスクラップかもしれないが。
逮捕、拘留されて、ひどい目にあった村木さんは、服装も態度も、実に地味な方だった。そういえば、村木さんの帰還を拍手で出迎えた、厚生労働省の職員、とくに女子職員の服装も、公務員だからという以上に質素で地味だった。
国家公務員の上級職の方々の給与は、世間が想像するほど高くない。むしろ、仕事の内容からすれば、低いほうである。
共産圏の国々、特に尖閣諸島で不当な権利主張をし始めた隣国などは、官僚の賄賂の授受が日常茶飯事だ。特に、国民皆が一斉に里帰りをする春節の前などは、通関が非常に厳しくなり、あらかじめトラックの運転手に、役人へ渡すための現金を持たせてやらないと、発送業務が滞ってしまう。
おそらく隣国の公務員の給与も、さほど高くはないのだろう。
日本の公務員にはそんな輩はいないから、ほとんど正義感だけで仕事をしているのである。
検察も公務員であることを思えば、手柄のために道を誤った主任検事の焦りも多少わからなくもない。公務員は、正義感がないと勤まらないのだ。
しかし、逮捕された主任検事は、その正義の観念の向けどころが、間違ってしまった。FDを改竄してまで、正義のために働こうと、思ったのかもしれない。ひとつの正義のために、不正義を働いてしまったのだ。しかも、(おそらく)無実の罪で人をひとり陥れるという、恐ろしい犯罪にまで手を染めていることが、わからなくなってしまった。
主任検事自身が、大事な証拠物件をコピーもとらずに扱うという、捜査環境の古さゆえに、事件は起きてしまった、とも言えるだろう。
政治家の官僚叩きについて、マスコミが取り上げる。すると、サラリーマン家庭の庶民は拍手喝采する。が、叩かれる官僚は、すべて不真面目かというと、そんなことはない。フロッピーディスクをいまだに使用しながら、安月給で、古めかしい不自由な組織で地道にがんばっている方々が大多数だろう。
サラリーマンと同じく(マスコミの社員もそうだろうが)、公務員だって、権力を持ち、莫大な給与所得という利益を享受する層は、ごく一部の人間たちだけである。当たり前のことだが。
無罪判決後、村木さんは、今回の事件で検察の問題点が修正されるといい、と言っていた。検察そのものの批判ではないところが、この人のすごいところである。
組織があまりに古めかしく、時代にそぐわない検察は、解体的出直しを求められているが、解体して盥の水もろとも大事な部分まで流されてしまっては元もこもないだろう。政治家の巨悪を暴くのは、やはり検察以外にないのだから。
そういえば、大阪地検特捜部の主任検事、前田恒彦容疑者も3.5インチのFDのドライブを搭載した古いPCを使っていたようだ。厚労省と同じく、検察の備品も年式が古いのだろう。
のみならず、容易に外部からFDなどのメディアを持ちこんで、操作可能というのだから、検察らしからぬセキュリティの低さだ。どうせ解体するのなら、こうした基本的な情報セキュリティの甘さも一切合財考え直して欲しいものだ。
そして、組織の基本設計を新しくし、その思想から、体制から、備品のひとつにまでおよぶ改革を加えてもらいたい。
・・・これを書いているあいだに、部屋の戸棚の中に、3.5インチのフロッピーディスクが転がっているのに気づいた。読み込めるPCがないので、中にどんなファイルが格納されているものか、見当がつかないのだが誰か公務員の友人に依頼して・・・いや、やめておこう。

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