友愛で迷走する民主党政権

民主党が、マニフェストを実現すべく、迷走している。
そりゃまあ、マニフェストは公約であるからして、実現にやっきになるのは当然だろう。しかし、その姿は、優等生が全科目(ただし体育はのぞく)満点の完ぺき主義をめざして、わき目もふらずにまい進する姿を思い起こさせる。もしくは、エリートサラリーマンが、上司の重箱の隅を突くような小言を気に病んで、さらに完璧を期すべく休みも返上して書類作りに精を出しているようなものか。


辛口で言うと、遊びのないハンドルのような政権運営なのだ。
ダム建設中止しかり、事業仕分けのスパコン予算カットの議論しかり、そうして、普手間からの米軍基地移設問題しかりである。
スパコンは、蓮舫などに言いたい放題言わせていたものだから、危うくほんとに予算カットになりそうになり、野依さんまでが反対意見を取りまとめて提言をおこなう仕儀になった。さすがに菅直人が出てきて、予算カットは免れたが。
そうかと思うと、今度は普手間基地の移設問題が浮上。
福島みずほが、自らの代表選に不利と見るや、連立離脱まで軽々に口にして、保身に走ったものだから、ただでさえ、獅子身中の虫の亀井に振り回される鳩山政権が、今度は、社民党にまで振り回されるはめになった。
巨獣がねずみ一匹に翻弄されて、吼えまわっている姿と言ったら、言いすぎだろうか。
アメリカから見ると、実に滑稽な、主体性のない政権党に見えているのだろう。それかあらぬか、鳩山首相が基地移設問題の年内決着をあきらめたと知った駐米大使は、ついに激怒したとか。当たり前だろう。
岡田外相の慌てぶりが目に浮かぶ。基地移設問題はパンドラの箱なのだ。ここで建前と本音の使い分けをやらなかったら、いつやるのであろう。
小泉元首相だって、政権を手中にする前は、あれほど反米的な発言をしていたものが、首相になったら誰よりも緊密な日米関係を築いていたではないか。あるいは、小沢一郎にしてからが、国連中心主義を著作に書きながら、現実政治の上では反米などおくびにも出さない所以である。
かてて加えて、首相自身の身内からの贈与申告漏れの疑惑の浮上は、ここへ来て出てくるのが痛手だろう。小泉元首相に「鳩山政権は参院選までもたない」と言われるのもいたしかたあるまい。
自民党の面々は、かつて疑惑を追及する側だった人間が、自ら綻びを見せていることに、快哉を叫んでいるに違いない。
もし、万が一のことがあれば、次は菅直人なのだから、今度は躊躇せずに、とはいっても妥協すべきところは妥協して、果断に政策を実行してほしい。そうでないと、日本はほんとうに二番底の大不況に突入してしまうだろう。
友愛もいいけれど、現実政治は理想や倫理ばかりを掲げていては前には進まない。政治家に求められているのは、結果責任だ。友愛を置いておいて、悪魔と手を握らなければならない局面が多々あるはずだ、とあまりに当たり前のことを書いてしまうけれど、そうではないだろうか、鳩山さん。

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