場外乱闘はまだこれからだ

予算審議の通常国会前に、わが国の政治は、まるでアジアの一小国のそれのように泥沼の様相を呈してきた。少なくとも、私には先進国のまともな政治とはとても思えないのだ。
一国の総理大臣が、「(検察と)どうぞ闘ってください」などと与党の幹事長に声をかけるなどということがあってよいものか。野党の谷垣総裁が言うように「不穏当な」発言だとは思えないが、政権与党が、検察と戦わなくてはならない構図が、ロッキード事件以来いまだに変わっていないことが驚きだ。


鈴木宗男が言うように検察は「間違った正義」かどうか、今はわからないが、このままでは予算どころではなくなり、国民にとって喫緊の課題である景気回復など、ほったらかしになりかねない。先生方は権力闘争のほうが優先課題だから、きっとそうなるだろう。
検察もマスコミも、世論を見方につけたほうが、かたや正義が実現されるし、かたや販売部数が伸びるから、ますます煽るにちがいないのである。
無論、陸山会の政治資金の経路の解明が、単なる政治資金規正法違反で終わらずに、贈収賄事件に発展したら、大問題だろう。
だが、それは予算審議とは別の場外乱闘なのだ。そして、それはまだまだこれから長く続くだろう。予算を人質にして権力争いをやられては、たまったものではない。
というわけで、脇の甘い与党の幹事長には大いに反省してもらわなければならないので、この際、闘いに専念してもらうとして、政権党の他の重責を担う面々には、まずは景気回復のために額に汗してもらわなければならない。
言われなくてもわかってるよ、と答えてくれればよいのだが。
最後に書いておくのだが、民主党のホームページは、かつての共産党か左翼過激派の新聞の見出しと見間違いかねないタイトルで、おいおい大丈夫かね、と言いたくなる。
曰く「【定期党大会】検察と断固として闘う 小沢幹事長が大会で特別挨拶」。
鈴木宗男などは、挨拶で「昨日起きた検察の暴走はいけないと考える。検察のリークで世論が誘導される。そういった意味でも全面可視化しなければダメ。間違った権力には断固戦って行こう。鳩山総理は見識を持っている。堂々と権力に立ち向かってもらいたい。」などと言っている。
ふつうの国なら、総理大臣が一番権力を握っているはずなのに。
それとも、アジアの一小国(ではないと、思いたいが)並みに、もっとも権力を握っているのは、検察も含めた官僚組織なのか、日本では。

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