友愛の外交

鳩山政権の外交デビューは、上々の滑り出し、と国内各誌が報道しているけれど、きっと苦々しく思って聞いている輩も多いことだろう。
特に、反米主義者の面々は、あれだけ「対等な関係」「東アジア共同体」を口にしながら、いざ政権を取ってみると、「ユキオ」「バラク」と呼び合う関係を構築しただの、インド洋での自衛隊給油問題は、代案を作ることでクリントン外務大臣に笑顔で迎えられたりという光景を見聞きして、「裏切り者!」と叫びたくもなっているのではないだろうか。


思えば、首相になる前は、あれほど反米を口にしていた小泉首相にしてからが、誰よりも米国と緊密な関係を作ったことだし、国連中心主義を掲げる民主党の小沢幹事長も、鳩山外交の方向性には口出しをしていないようだ。
しかし、これらは皆、日本の政権政党のお家芸のようなものだ。政権を取ったからには、反米だの、東アジアだの(鳩山首相は、中国の主席の前ではそう発言してしまったようだが)と世迷言を言わないのが、日本政治のまっとうな現実主義だろう。
アメリカも、どこまで日本の新しい政治家が本気で、「対等な関係」を持ち出してくるのか、きっとはらはらしたに違いないが、意外とまっとうなので、ほっとしたはずだ。
日本の政治は、あくまで、「友愛の外交」なのである。宇宙人、鳩山首相の言葉がなくとも、ずっと以前から。
鳩山外交が、東アジア共同体と言おうが、日米の対等の関係を持ち出そうが、米国は大人の対応でまったく気にしてなどいないのだ。インド洋給油活動を停止しても同様で、クリントン国務大臣は、岡田外相ににこやかに、やんわりと大人の対応をしてみせた。「まったくしょうのない子ね」とでも言いたそうに。
それにつけても危ないのは、「鳩山イニシアチブ」と名づけて、華々しくぶちあげた温室効果ガス排出量削減の中期目標だろう。2020年までに90年比で25%削減といえば、今現在の達成されそうもない目標をはるかに超えているだけではなく、ヨーロッパがもろ手を挙げて賛成するほど、超現実的な目標だ。
だいたい、環境問題というのは、公害問題が国内問題に留まるのと対照的に、国際問題、すなわち外交の駆け引きに使われる道具なのである。「環境」は、あからさまに国際政治の駆け引きの材料だ。だから、うかつにアメリカは出てこないし、中国などこれから発展する国々は、自国の目標を安々と決めたりはしない。目標値の達成のために、金で解決、すなわち排出権の大量購入で解決を図るというのも乱暴だ。
鳩山政権は、最初から危険な賭けに出てしまった。これが「友愛の外交」とでもいうのであろうか。宇宙人なら、今、太陽黒点の活動が弱まって、地球は寒冷期に入りつつある事を感づいているはずなのであるが・・・。
※「地球は寒冷期に入りつつある」という発言は、科学的根拠はありませんので、あまりマトモに受け取らないでください。

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