「不安」の気分と縁遠い方々(311後の世界9)

5月31日の記事で「地下原発で超党派議連」というのがあった(時事通信社の記事)。
曰く「与野党の有志による「地下式原子力発電所政策推進議員連盟」が31日発足し、衆院議員会館で初会合を開いた」とのこと。その会長が「たち日」の平沼氏。顧問が森元首相、民主党の石井一副代表らというのがおかしい。へえ、結局彼らは仲良しなんだ。
地下に原発を作れば、地震にも耐えられるし、万が一放射能モレが起きても地下なので影響がないだろう、という安易な発想だ。実に能天気ではないだろうか。
いくら地下だとは言っても、原子炉の爆発でも起きれば、地下水だって汚染されるし、なにより従業員の安全だって脅かされる。たしかに、東京都の真上から、雨水とともに放射性物質が落ちてくることはないだろうけれど。
彼らにとっては、今の日本の一般大衆の「不安」の気分など、まるで感じられないのだろう。どうせ作るのならば、東京都のど真ん中に、穴でも掘って作ったらよかろう。なにせ「安全」なのだろうから。
がっかりするのが、こういう発想をするのが、与野党超党派の議員というところだ。今の政治家は、どうして揃いもそろって危機感の欠如した輩ばかりなのだろうか。
彼らには、フクシマの人たちの苦しみなど、まるでわかっていないのであろう。実に、「空気」の読めない方々ばかりだ。2ちゃんねる風に言うならば、少しは「空気嫁」。
日本の多くの人びとの「不安」を感受する能力のない政治家には、政治など手がけて欲しくない。


と思っていたら、ますます「不安」を増長させる事態になった。
自民、公明、たち日が3党で内閣不信任案を提出。みんなの党が同調するのだという。そこまでならいいのだが、民主党は小沢元代表が造反して不信任案に賛成する意向を表明し、すでに5人の役職者が辞表を提出したのだ。
私がくだくだしく書くまでもなく、85人の民主党員が同調すれば内閣不信任案は成立するだの、中間派が棄権すればもっと少ない数でいいだの、マスコミが数合わせの仕組みを解説してくれている。誰が何グループで、菅首相を支えるグループだの、小沢元代表と近いだのと、このときばかりは政界地図があちこちで広げられている。
が、申すまでもなく、震災や原発事故で避難している被災者の方々は、いちように怒りの声を口にしているが、当然だろう。よりによって、この時期に政局をやっている場合なのか。
いや、野党が出すのはかまわないが、与党の一部が分裂して同調するとなれば、ふだんなら下手なテレビドラマよりよほど面白い見物だが、今はそんなものを見たくない。これから台風が東北地方に上陸するようなことになれば、すぐさま2次災害が起きるだろう。
政権の空白など許されない事態になることはまちがいない。
ほんの一ヶ月前までは、大地震の3ヵ月後、半年後には、M8の巨大地震が再来する可能性も取りざたされてきた。そんな「空気」をもうすでに忘れてしまったものか。
どうやら、政治家の周辺の「空気」と、庶民のそれは、まったく別物であるらしい。
政治家先生は「不安」の気分などとは、とうてい縁遠いのであろう。
しかし、庶民を甘く見てはいけないだろう。今回、造反に同調した議員は、解散総選挙となった後、無事に再選されるなどとは思わないほうがいい。政局「気分」で浮かれ、この大事な時期に造反などした議員の名前は、次の選挙まで、この場に晒しておくことにする。

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