浜岡原発停止(311後の世界1)

東日本大震災の衝撃があまりに大きく、ずっと書けないでいたが、その後、311後の世界を象徴するような大事件が起きたので、なんとか書いてみることにした。
大事件とは何か。
ついに、浜岡原発が停止となったことだ。
浜岡原発とは何か。
東海地震の震源地の真上(御前崎近辺)に立地し、東日本大震災が起きる前から、危ないと言われつづけていた原発だ。


そうは言っても、今回の、首相による停止要請と、数日後の中電による受諾については、賛成意見、反対意見がさまざまにある。
日本経団連の米倉弘昌会長は「確率論だけで停止要請したのは唐突感が否めない」と、ストレートに首相の対応を批判している。
ちょっと捻りが効いているのが池田信夫で、この人はわざわざ「原発反対派」をやめたそうで、その上で、浜岡原発停止の措置を批判したりしている。なぜ「原発反対派」をやめたのか、説明がBlogに書いてあったが、面倒なので割愛する。
経済界が、すべて浜岡停止に反対かというとそうでもなく、鈴木自動車の会長や、愛知県や岐阜県に航空機部品などの生産工場を持つ川崎重工の会長は、浜岡原発の停止を当然だと言っているのだ。
一方、うがった見方は、今月末にフランスでG8サミットがあり、首相はそこへ手土産を持ってゆかなければならず、原発停止はこのタイミングがぎりぎりだったのだ、ということである。そうでないと、欧州各国から、袋叩きにあうだろう、ということだが(ゲンダイネット)、なるほどいかにもありそうな話だ。
しかし、政治家は悪魔と手を結んでまで、結果責任を負う。
つまり、一国の首相は、国益、すなわち国民の利益を最優先して、先手を打つことを求められる。
東日本大震災は、想像を超えた出来事であったため、常に後手ばかりをとらされていた。今ここで、東海地震が起きる前に先手を打たなければ(東海地震など、起きないに越したことはないが)、後世にまで首相の悪名が残ってしまうだろう。
・・・などと考えたかどうか知らないが、経団連の会長が言うような「87%の確率論」の前に安全策をとることのどこが悪いのか、わからない。
世界最大を誇った釜石の湾口防波堤も、大船渡にあった世界初の大水深津波防波堤も、今回の大津波にはなすすべもなかった。想定を超えることも大いに考えた上で、やり過ぎでもよいから先に手を打つほか、この地震国で国民の安全を図ることはできないだろう。
手を結ぶべき悪魔とは、次の選挙で勝つために、首相にパフォーマンスを求める友党の政治家諸君だ。彼らは、無党派層を大量に取り込んで次の選挙で生き抜くためには、与党の党首に美談を作って欲しかった。
ここで彼らを取り込めば、政権も磐石の態勢となるのは間違いなし。ましてや、政権批判を強める、小沢派を黙らせるのに好都合だろう・・・と、うるさい外野が言うので、乗ったことにして、浜岡停止を決断したものかもしれない。
などというのは、全部私の想像に過ぎないのであって、実際はどうかわからない。わからないけれど、今後来るだろう(と地震学者が強調する)東海地震に備えるのは、あの、あまりに悲しいフクシマの現状を見れば、当然と思うのだが、間違っているであろうか。

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