事業仕分け VS インフレターゲティング

やはりこうなったか・・・という感の強い、参院選の中間結果。
こうなったというのは、民主惨敗、というより、旧党派退潮と第三極、つまりはみんなの党の躍進のことである。
すでに、消費税増税論議にいきなり火がついてしまい、あれよあれよという間に選挙の争点になってしまってからは、増税なき財政再建(ちょっと疑問だけど)を掲げるみんなの党が人気を博していたことからも、結果は見えていた。
このままでは、議席0から、いきなり二桁に乗せかねない。渡辺喜美という政治家、なかなかのヴィルトナを持っていそうである。
一つ前の書き込みで、うかつに「新政権には、大きく3つの使命があるだろう。ひとつめは、破綻寸前の借金財政の建て直し、すなわち国民への説明責任を果たして、消費税率アップを実現することだ」などと書いてしまったのがいけなかったかもしれない・・・


・・・などということはまさか、ないだろう。民主党のお偉方が、私ごときのBlogなど、読むはずがないから。
読むはずないから安心して書くが、それにしても、うかつすぎるだろう。
消費税増税は、それを何に使うかが大事なのであって、多くとり過ぎた分は「還付」するだの、年収「○○百万円」以下が対象だのという議論は、後から言うべきことだ。
それに、法人税減税とか相続税増税とか、税制のしくみを生煮えのまま話題にしてしまい、前提の財政再建はどこかへ行ってしまった。
と思っていたら、あっという間に参院選の期日が来てしまった、というお粗末さ。
財政再建のため、事業仕分けのパフォーマンスは行ったが、選挙中にも官僚の手で予算執行は行われているわけで、誰がそれをチェックしているのか、聞いてみたい気がする。
それにつけても目立つのが、渡辺喜美の政策だが、財政政策は金融政策とミックスして執行しなければ効果がない、という主張だ。
みんなの党は、霞が関改革推進法案という公務員制度改革の法案と並んで、日銀法の改正を提案している。物価安定目標を、日銀が1%と考えるのに対して、みんなの党が考える目標は2%だ。この数値目標を背景にして、緊急時には政府が日銀に信用緩和策として中小企業のローン債権を買い取り請求可能にするなど、金融政策に政府が介入できるプランを提案しているのだ。
いわゆるインフレターゲティング論だろう。
インフレターゲティングが有効かどうかはさておいても、財政再建は「事業仕分け」で宝探し、赤字は増税で補填という民主党の議論よりは、よほどクリアな議論に見えてしまうのだ。消費税増税、是か非かみたいな争点に落ち込んでしまった参院選においては、民主党は不利になって当然である。
それに、民主党が「景気回復」というふつうの言葉を使うのに対して、みんなの党は「デフレによる需給ギャップを埋める」という言い方をする。同じことを言っているのだけれど、よりカタカナ語の多いみんなの党の主張のほうが、無党派の若者に受けるのではないか。
発足まもない菅政権は、いきなり衆参ねじれという難関にさしかかってしまった。これは鳩山政権以上に政権運営が難しくなった、ということでもあるだろう。
しかし、自民党にも往時の力はないのであるから、同じヴィルトナがない第一党、第二党同士、実力伯仲する中で互角の闘いで今度こそ政策論議をまっこうから行ってもらいたい、と思うのだがいかがであろうか。

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