Behind the mask

先々週、ドラッグストアやコンビニから、いっせいに風邪マスクが姿を消した。無論、東京でも、インフルエンザ患者が発生したからだが、誰がいったいインフルエンザにはマスクが有効だなどと言ったのだろう。
実際、電車の中では、仮面をかぶるようにマスクをしたサラリーマンばかりが目につくようになった。ほんとうのところ、ゴーグルでもしなければ、ウイルスは目からも侵入するし、電車でつり革にも手すりにもつかまらないで立っているのは困難だろう。
風邪マスクぐらいでウイルスの進入が防げるわけはなく、現にマスクをして街を歩いているのは日本の国民ぐらいらしい。
マスクは、風邪やインフルエンザに罹った人が、他人にウイルスを撒き散らすのを防ぐためには有効だ。だから、熱のある人に、マスクが行き渡らない、というような状況は本末転倒なのである。が、きっと、今マスクをしている人たちは、健康なのだろう。咳などしていない人たちばかりに見えるしね。


いや、もしかしたら、日本人のマスクは仮面の一種なのかもしれない、とも考えた。かつて、日本の有名な作家は、仮面の告白で、もっとも雄弁に自身の本音を語ることに成功した。仮面を被ったほうが、ほんとうのことを語りやすいのだ。
Youtubeで有名になった奇術師のMad Vは、口鬚と、山羊のような顎鬚を描いた仮面をいつも被っていた。そうして、彼の奇術の最高潮は、この仮面をはずすと顔がないことなのである。そう、仮面の背後に、ほんとの顔などないのだ。
そういえば、韓国の仮面劇も有名だ。韓国の民衆が、色とりどりに塗り分けた、表情豊かな仮面を被って演技する、大衆演劇である。劇の多くは両班(富裕な階層)に対する民衆の不満を表現していて、いかにも悪そうな表情の仮面を被った両班を、庶民が懲らしめるのだ。
こうした劇も、素顔で演じたら、きっとあまりのリアルさに、かえって迫力を失ってしまったにちがいない。ただでさえ、ルサンチマンの激しい、韓国国民の感情が、仮面をはずした途端に奔流して、劇をぶち壊してしまうことだろう。
現に、大統領の仮面をはずしたばかりの、韓国の前大統領は、民衆のルサンチマンに襲撃されて、自ら命を絶ってしまった。実に、痛ましい事件である。
実に痛ましい事件だ・・・と思っていたら、インフルエンザの話題はすっかり影をひそめてしまい、代りにまたぞろ隣国がミサイル発射や、核実験をやり始めた。
北朝鮮の核実験には、友邦であるはずの中国でさえ反対しているから、今回の一件は事前通知がなされていないのだろう。ということは、恐ろしいことに「将軍様」の統制が効いていない可能性もある。
北朝鮮が主席名で、韓国前大統領の悲報に、哀悼の意を述べた日に、核実験が起きていることからも、そう推測されるのだ。
もしそうだとしたら、恐るべきは豚インフルエンザなどではなく、隣国の破綻だろう。そうして、軍事的暴発と大量の難民が発生したとき、影響は韓国だけではなく、わが国に及ぶことは明白だ。
近い将来恐るべきは、強毒性の鳥インフルエンザの世界的流行と、東海・南海大地震である。このふたつは、避けては通れない、自然災害だ。
豚インフルエンザだって、自然災害なのに、インフルエンザに罹った高校生の少女が涙目になったり、校長先生が申しわけなさそうに謝罪する必要なんて、ほんとうはまったくないのである。インフルエンザ患者を犯罪者扱いの目で見る日本は、鳥インフルエンザが起きたとき、パニックで国中大騒ぎを起こすだろうことが、今回の一件でよくわかってしまった。それに、非難は匿名でなされるのがこの国の特徴だ。
のみならず、隣国が政治的に破綻したら、備えのない日本は、そうとうなパニックに陥るにちがいない。そして、非難する人たちの声は、マスコミの匿名記事や、ネットの匿名の書き込みから、すなわち仮面の後ろから発せられるのだろう。
・・・アメリカの国民はインフルエンザが大流行しても、マスクをして歩いたりはしないようだ。仮面を被って本音を語るのが好きな国民ではないのだろう。
私は、投機熱とかインフルエンザとかを送りつけてくる無作法な国は、あまり好きではないけれど、マスク、いや仮面などつけないところだけは、少し共感している。仮面を被らずに、表情豊かに、デリケートに、ナーバスに、人々を傷つけないでつぶやくほうが、どんなにいいことか。
そういえば、アメリカで仮面劇など、あまり聞いたことはない。。。

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