毒入り餃子の国

あんまり忙しくて投稿もままならず、エントリーのしかたも忘れかけてしまった。久しぶりの投稿だ。
中国製冷凍餃子の中毒事件が話題だ。いや、話題だなどという話ではなくて、連日、新聞紙上を賑わすようになった。テレビ、新聞、雑誌で、これでもか、というぐらいに、がんがん報道している。のみならず、店頭からは次々と中国製品が撤去され、中国そのもののイメージも坂を転がり落ちるように低下し続けている。
そうして、いまや、幼稚園児でもスーパーで「中国製は食べちゃだめなんだよ!」などと親と言いあっているありさまだ。日本に在住の中国人は、さぞや肩身が狭い思いをしていることだろう。中国人の子供が、日本人のいじめに遭っていないかと、心配したくなってくる。


が、世間は冷酷だ。このままだと、北京オリンピックの開催も危ない、などと言う声も聞こえてくる。以後、ずっと中国はイメージを悪くし続けるのだろうか。それに伴って、バブル経済ともいえる中国の経済成長は、終わりになるのだろうか。
私が最初に中国へ出かけたのは1991年。当時は、舗装道路などはお目にかからなかった。街灯もほとんどなく、夜は真っ暗になり、非常に恐ろしい気持ちがしたものだ。
ところがそれから5年もたつと、あちこちで道路が舗装され、高速道路は整備され、街灯が灯るのみならず、デパートが客を集めるようになった。
そこへ来て、この事件である。中国と日本の関係は、これで決定的に悪化して、今後相互の貿易は立ち行かなくなるのか・・・。
そんなことはあるまい、と思うのは私だけだろうか。たとえ冷凍餃子は二度と店頭に並ばないとしても、いずれ中国は復活を遂げ、いや、日本を凌いでゆくことになるのはまちがいないだろう。
思うに、90年代初めの中国は、冷凍食品を作る技術など持っていなかっただろう。日本企業が次々に中国へ進出して、技術を伝授したのだ。伝えたのは、加工の技術だけではなくて、品質管理のそれもだろう。逆に言えば、日本人は自分が伝えた技術を、自分たちで享受すると共に、自分たちが撒いたリスクの種に復讐されているとも言えるだろう。
まさか、加工の過程で、農薬混入などという事態が発生するとは夢にも思わなかったにちがいない。が、冷凍食品製造などという技術が中国へ伝わっていなければ、こんな事件は起こることはなかっただろう。
が、いまさらそんなことを言ってもしかたない。いずれ、中国は、日本を凌ぐだろう。世界史を紐解けば、こんな事態は簡単に理解できる。ギリシャの都市国家を飲み込んだのは、隣のバルバロイ(野蛮人)であったし、ローマ帝国を滅ぼしたのも当時は文化程度が低かったゲルマン人だ。日本を滅ぼすのは、隣国の後進国家に決まっている。
日本人は毒入り餃子に恐怖するのではなしに、そのうち、毒など入らない品質管理技術を会得するであろう中国という国家そのものを恐れるべきだろう。
・・・と、このあいだヨーロッパへ行っているあいだに、毒入り餃子事件の報を聞いて、思ったものだ。

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