ビジネス書はネジである。

『佐藤可士和の超整理術』の中に、ユニクロの話が出てくる。
ユニクロのニューヨーク旗艦店のADを依頼された。
それで柳井会長にヒアリングをしたとき、感銘を受けた言葉があった、という。
「服は服装の部品です」
ユニクロは部品(パーツ)としての服を作り、それを客が自由に組み合わせるのだ、という。
この箇所でも目からうろこが落ちました。
トータルファッションではなくパーツ。
だからユニクロは同じアイテムに圧倒的なカラーバリエーションを備える。
昔の鉄道模型ファンからすると、ユニクロのあの品揃えが、部品を圧倒的な物量感で陳列する模型店のように見えたのは、そのせいなのかもしれない。


この本を、デザインを編集、クライアントを著者に置き換えて編集論として読んできた文脈でいくと。
「本は知の集積の部品」
とくにビジネス書は、ネジみたいなもの(模型の世界ではビスと言うけど)ではないか。
ネジは多品種多量生産の、たいていの工業生産品に必要な基礎商品。
長さ、直径、ピッチごとに、大量の品揃えが必要。
どんなハイテク品でも、いったん壊れたら、規格の合うネジがないと、修理することができない。
人は大体、潜在的にも顕在的にも壊れている。
顕在的に壊れている人には、それを直すネジが必要。
潜在的に壊れている人には、それを顕在化する問いかけをして、壊れたところに気づいてもらい、ネジを提供する。
ただしそのネジは、規格が合う人に限って使いまわしができる。
そういうネジみたいな本を作ればいいのかもしれない。

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